フランス紀行 4

私と青華はパリ中心部1区のコンドミニアムに滞在していました。
そこはとても便利なところで、私達は徒歩やタクシーで気軽に観光を楽しめました。

さらに特筆すべきはUber Taxiでした。
その配車アプリを使うと、観光ための移動時間がぐっと短縮され、そのうえ公共交通機関での乗り換えなどの面倒さもなくなり快適な観光となったのです。


今では日本の都市部にも導入されているUber Taxiですが、その当時はあまり一般的ではなく私達はUber Taxiのシステムを十分に把握することなくフランスで初めての体験となりました。



初めてUber Taxiを使って凱旋門に行った時のことです。
アプリを開いて目的地を入力すると、GPS機能によって一番近いタクシーに私達の位置が知らされ、わずか数分でお迎えのタクシーが来ました。

私達はそのタクシーに乗り込みました。目的地はもう入力済みなので、ほんと〜にただ乗るだけです。
タクシーに数分乗っていると観光客で賑わう大きな通りに到着し、運転手が門を指差し「ペラペラペラ〜」と英語で話し出しました。
きっとこれが凱旋門で運転手はその説明をしているのだろうと思って、ウンウンと頷いて聞いていると、また運転手が「ペラペラペラ〜」と話しました。
親切にまた凱旋門の説明をしていると勘違いして、ウンウン頷いて聞きながら、はたして料金はいくらだろう〜、チップを加えるともっと高いし〜、などと考えながらお財布を出すと、運転手はさらに「ペラペラペラ〜」と私達に何かを説明していました。

あれ?凱旋門の説明では無いようだし運転手は一体なにを話しているのか、今度は全神経を集中させて聞きました。

運転手「ペラペラペラ…ペラペラペラ…ペラペラオートマティックペラペラ……(英語)」

私「……」
 「ん?今オートマティックって言ったよね…?」

…財布をもつ私の手元を運転手が見つめ、そして聞こえた「オートマティック」…

…そしてペラペラの正体がひらめきました〜!!
そう!Uber Taxiのアプリをインストールした時、クレジットカード番号を登録したのですが、タクシー料金はすでにクレジットカードから自動で支払われていた事に気が付いたのでした〜!

Uber Taxiがそれほど便利なシステムだったとはつゆ知らず、オートマチックという単語だけで、全てを悟った自分のひらめきは、我ながらあっぱれ!といいますか〜

(ひらめきに感心せずに事前に調べてからUber Taxiを使いなさい、って事ですけど 笑)



そういえば過去にも似たようなひらめきがありました。


近所を歩いていた時に、柴犬を散歩させていた男性とよく会いました。
一度も話したことがありませんでしたが、かなりご高齢の方でした。柴犬ちゃんも白髪混じりで目がクルッと愛らしい老犬でした。いつも2人は一緒でゆっくりゆっくり散歩している様を微笑ましく見ていました。

ある日の事、道端で偶然鉢合わせたので、思い切って声をかけてみました。

私「可愛いワンちゃんですね〜、名前はなんというのですか?」

男性「ツブです」

…ツブ?つぶ?粒?つぶ貝?
ワンちゃんにつけるにしては変わった名前…と思いながら、「ツブちゃんですか〜☺️」と相槌を打つと、


男性「いんや、違います」

私「?」

男性「ツブです」


私「…ツブちゃん…(^_^;)」

男性「いんや、ツブ」


…ツブではないけれどツブという名前…


私「…ツブ…」

男性「いんや、ツブ」


もう私の頭はグルグルと混乱して同じ会話を繰り返していました。
でもこれ以上同じ会話を繰り返してはご年配の方に対して失礼だろうと、普段は眠っている私の脳細胞をたたき起こし、さあ考えるんだ!と喝を入れた次の瞬間!


( ゚д゚)✨✨ハッ!
…もしかして…


私「……『チビ』ちゃんですか?……」

男性「そう。ツブです」

ひゃー!(◎_◎;)
大ピンポン‼︎でしたー‼︎

学期末テストの終了1秒前に正解を出した時のような、何かをやり遂げた感がしました。


人生の中でひらめきはいくつかあったけれど、凱旋門のオートマティックはチビくらいのひらめき度数✨だったのですー!



城下八重子